暑さで型紙直しのスピードもゆるんでいるところへ左足を痛めてしまい、シャツ作りはしばらくおあずけに。
でもこの本のおかげで焦りがすっかり飛んでいってしまいました。
安藤明子の衣生活―ずっと着られる衣服を求めて
安藤 明子
ネットで知り合った友達が教えてくれました。素敵な本がありますよ、って。
本当に心がおちついてゆく素敵な本です。
ここで紹介されている衣服は、洋服でもなく、かといって和服でもなく、私の印象からすると「布を身にまとう」といった感じの衣服です。古くからある生活着だと説明されたら納得してしまいそうな「サロン」をはじめ様々なものが紹介されております。
(サロンは平面の布を筒状に縫い合わせたスカート状のもので、腰ひもを使ってウエストで締めてはきます。折って丈を調節したり、重ねてはいたり、ときには風呂敷がわりにものを包んだり、肩からかけて赤ちゃんの抱っこ紐にもなったり、その形のシンプルさからもたらされる懐の深さに、まるでふるさとを見るような思いがします。)
日本で最も暑いといわれる岐阜県多治見市に暮らす著者が実際に生活に取り入れているからこそ、湿度の高い日本の夏にも向いていると思わせる説得力もあります。そして著者の、布を慈しむ思いが感じられる衣生活だと思います。
著者がサロンをつくりはじめたきっかけは、お茶会の場での思いからだったそうです。
靴まで履いて完成形である洋装ではお茶会での所作が美しくない、窮屈そうでもある。では着物はどうかというと、会場で目立つ晴れやかな訪問着や振り袖はやはり場に馴染まない。
そもそも着物は、幾時代もの間、日本人の暮らしとともに進化してきたもの。ところが文明開化で西洋化、敗戦でアメリカ化。いつのまにか着物は民族衣装となり、生活から離れて進化も終わってしまいました。いまの着物の形は、明治時代のまま止まっています。もし止まらずに、そのまま生活着としても、和洋折衷の現代生活とともに発展していたら、いまとは違う形に進化していたかもしれません。仮にそういうものがあったら、晴れやかな訪問着や振り袖でなくても、お茶会に着ていけるはず……。 p52~p53 “「調和」という、衣のあり方。” より引用
著者はお茶のためだけにサロンを作ったのではなく、サロンを「常服」にして生活しています。また、洋服を排除するということでもけっしてなく、Tシャツを愛用している姿も本の中にたくさん見られます。
変な言い方だけれど、洋服に対しても和服に対しても無理をしていない姿はとても素敵だと思います。
私がこの本でいいなと思ったのは、これらの衣服がちいさく「たためる」こと、その小さくたたまれた衣服たちが引き出しにそろっとしまわれていること。生活的で日本的な匂いがします。著者の衣服は布を直線に裁ち縫い合わせているのできれいにたたむことができるのだそうです。
洋服はしわになるのが面倒で私はニット以外はハンガーにかけっぱなしです。でももし、日常着だけでもこんなふうにできたら部屋も気持ちもすっきりする…、と思い始めました。日常着だけ、というあたりが消極的かもしれないのですが、やはり私は人混みでは目立たぬようにしておきたいたちなので、シャツにパンツにジャケットあたりを放棄することはできません。(笑
しかし、それを外出用と割り切って、日常はこんなふうな無理をしない生活着で過ごせたら、と。
自分なりの「たためる」衣服を作れたら、と。
楽しい想像を広げて、猛暑を過ごしております。
コメント
こんにちは此の本近くの本屋さんで探してみたけど、なかったです残念・・・
とっても気になってま~す
これからの季節色んな素材、柄で作るとかわい~だろーなぁ
それから膝をお大事に。
リンクを張らせてもらってます
良かったですか?
先に聞いた方が良かったですよね
ごめんなさい。
ナミさんこんにちは。
リンク、もちろんOKですー。
どうもありがとうございます。^^
この本ね、凝り固まった思考がすっとほぐれるような感じでしたよ。
しばらく縫い物から離れているうちに季節がかわってしまいました、、
今度は冬物がんばらなきゃ。(笑
本を見つけて購入しました
布を最後まで大切に扱っているのが伝わってきました、昔の日本ではあたり前にやっていたのに、今は忘れてしまっている大切な事を教えてもらった気がしました。
サロンてすごい!!!
それからリンクのOKを頂き、ありがとうございます。
本見つかりましたか、懐かしいのに新鮮(?)な気持ちになりますよねぇ。
布を大切にするのは昔はどこでも同じだったのだと思うのだけれど(洋服の裁ち端を有効利用するためにパッチワークがうまれたのだとどこかで聞きかじった覚えが・・ホントかな)、今はものがあふれているからそういう気持ちになりにくいですよね。
それに、布を体に合わせてかっちり作ってしまう洋服に対して、布を布のままうまいこと着てしまうみたいな気持ちっていうのは、洋服にしかなじみのない私には新鮮でしたし、不思議な安心感まで感じてしまいました。
^^♪